自宅マンション水漏れ備忘録(暫定)

自宅マンション上階からの水漏れにまつわる記録を付けておきます。(画像アリ)は私のスマホに画像があるものをさします。何かのときのためにということで。

気がついたときから。

■1/14 この日は用を足していると頭に水滴が落ちてきた。天井を確認すると大きなシミがある(画像アリ)。水漏れとはじめて把握する。少し前からトイレの床が湿ったりしてたしクロスにカビのようなシミができてきていた。結露なのかな?原因を突き止めないとと思ってたのだがもしやこれか?

すぐ上階の人に確認に行くが「ウチからは水漏れなどはしていない」という(奥さんが対応)。取り急ぎ管理人さんに連絡をする。管理人さんからは「理事長にも伝えてくれ」と言われたので電話をし報告する。

■1/15 理事長から電話があり、簡単な報告。出入り業者(桜井工業)に連絡先を渡したのであとは交渉してみてもらってくれという。桜井工業から電話。立て込んでいるので最短でも1/24まで来られないという。とりあえず依頼はして様子見にする。壁などからも水が染み出してきて、床に小さな水たまりが出来るようになってきていた(画像アリ)。

■1/17 トイレからの落水は小康状態も、洗面所と廊下の壁にじんわり水が染み出してくる。上階(奥さんが対応)に取り急ぎ水漏れが広がっていること、こちらの漏れに関して業者に依頼したことなどを報告。可能であればそちらも調査・対応するようお伝えする。水漏れが廊下などに垂れてくる。

■1/20 洗面所、少しずつ水漏れ箇所が増えてくる。廊下の数カ所からも水が染み出してきている。洗面所の照明付近から水がポタポタ落ちてくるようになり、バケツで受ける。壁からの染み出しは雑巾やバスタオルで堰を作るが一定時間で受けきれなくなる。仕事から帰るとまずびしょ濡れの床の掃除をしなければならない、精神的に落ち着かず苦痛であるし、何より早く帰宅しなければ被害が広がるので仕事に差し支えてくる。洗面所に保管していた一部の本の在庫が濡れてダメになってしまう。

■1/21 水漏れが広がる不安から桜井工業の来訪まで待っていられなくなり札幌市管工事業協同組合に電話をし「三協」を紹介される。当日中には伺いますとのことで仕事を休む。夕方に来てくれる。汚水ではなさそうなので上階の給水管あたりが怪しいという見立て。マンションの構造上、うちの天井ではなく上階が原因であり、そこの床を剥がして原因に当たらなければ修理出来ないという。上階の人との折衝もしてくれて、彼らの負担で工事するということで言質をとってもらう。廊下の壁・電気スイッチ付近にも大きなシミがみられるようになる(画像アリ)。危険な兆候。どうやら上階はしばらく使用されていなかったのだけど最近入居してきたとのことだが、使用されず劣化していた水道を急に使用し始めたことで水漏れが発生したのだろうか。

■1/22 洗面所の天井や壁のシミが増える。漏れる水量も、漏れる箇所も徐々に増えている(画像アリ)。バスタオルなどで漏れ箇所付近の応急処置をする。仕事に出て帰宅すると廊下などが水浸しになる。早めに帰宅して処置しないとならなくなってくるので通常より2時間ほど仕事時間が削られる毎日。

■1/25 水滴の落ちてくる箇所があちこちに移動する。洗面所の照明付近、そして廊下側の天井あたりのクロスの境目から水が漏れるようになる。天井のクロスが徐々に浮き始める。避難させていた本も移動先で濡れてしまうなどの被害あり。

■1/26 壁のシミが増える。水漏れは汚水ではないらしいとは言うが、壁は茶色いシミ、木目の間から滲み出てくるものはどす黒い色(画像アリ)精神的にもキツくなってくる。床への水漏れも増えてくる。

■1/27 天井からの落水が徐々に頻度を増す。休日なので少し外出して帰宅しただけでバスタオル数枚では受けきれず床がベシャベシャになっている。床にダンボールに入れて保管していた本も濡れてしまった。早くなんとかして欲しい。水漏れなので元栓を締めてくれればいいのにと思う。

■1/29 三協は「今後のことが決まったら連絡します」と言ってたが一向に当方に連絡がないので電話してみる。上階住人からの工事依頼は現時点まだ無いという。「工事については了承」としたものの、保険の絡みなどで「まだ検討中」とのことらしい。驚く。上階に出向く。奥さんが対応。被害が拡大しており一刻を争うのですぐに対応してもらうように告げる。上階住人に保険の加入について確認をする。火災保険は加入しているとのことなので、当方の被害状況を説明するので保険会社に当方の被害についての連絡と状況説明をするようにお願いする。また、補償に関してはクレジットカードや自賠責保険などに個人賠償がついてないか確認するよう促す。工事についてまだ依頼してないことなど、ここまで上階住人から私への連絡は一度もなかった。

■1/30 最も水滴の落ちる場所、その水量的にバケツでは受けきれず出かけて帰ってきたときにはもう溢れ出している。水滴というよりジョボジョボと落ちてくることが増えてくる。洗面所の天井のクロスが完全に浮いてきている。水の重さなのかクロスだけじゃなく天板もしなってきていて、手で押すと水がジョボジョボ垂れ落ちてくる。このままじゃ相当に危険である。

■1/31 帰宅をすると廊下の壁と天井のクロスが剥げ落ちて垂れ下がっている(画像アリ)。水漏れのせいで接着部が持たなくなってしまったのだろう。クロスの剥がれた天井部分にも水滴が多数ついており水漏れが徐々に大きくなっていることがうかがえる。一方で洗面所の天井ももうブヨブヨになっており、いつ崩落してもおかしくない状態に。水量も増えているし、落ちる箇所も不定期なので床はビシャビシャ、一刻も早く対策してくれないことには。

深夜にゴゴッと音がする。洗面所の天井のモルタル部分が大規模に崩れ落ちたようだ(画像アリ)。天井の半分以上がめくれてしまい、水があちこちから垂れてくる。とりあえず崩落時に真下にいなかったのが不幸中の幸い。上階の住人に電話をするが留守電。破片などを片付け、床を拭く。水漏れ箇所以外の本も被害を受ける。破損、汚損、濡れてしまって売り物にならなくなった本をゴミ袋に入れる深夜。あとはとりあえず何も出来ないので寝る。

■2/1 朝イチで上階にかけあう。旦那さんが出てくる。現状説明、いますぐ原因の追求と対策をとってもらうよう告げるも発覚から二週間以上経つのに「管理会社に連絡しようと思ってたところだ」などと悠長なことを言われる。水道の利用をすぐ止めるよう懇願するも了承せず。「逆の立場なら私はもっと怒ってますよ」などと他人事のように言われる、しかしこのあとも謝罪どころか連絡・報告すら一度たりとも無し。うちの被害について直接下階に見に来てくれと頼むも、写真で被害を見たので大丈夫と断られる。家財被害の件もあるので保険会社への連絡を念押しする。

上階と話し合ったところで状況が一向に進まなかったので管理会社の緊急連絡先に通報する。委託されている警備会社が割と早く来てくれた。状況の把握、管理会社への連絡、上階への聴取など的確にこなしてくださった。水道の元栓を閉めて使用しないように勧告してもらう。管理会社経由で理事長にも話が伝わったようで、そちらからも上階住人に電話するように伝える。

15時頃、理事長から電話。上階の住人に至急工事するよう促しておいたとのこと。私からも上階に電話して大至急工事業者の手配するように依頼。「で、どうしたらいいです?」と他人事のように言うので、先日の三協でも別の業者でもどこでも良いからすぐ対応するところを探してくださいと伝える。胃が痛くなる。各方面からせっついてようやく動き始めた感。

17時半、先日見に来てくれた三協から電話。上階住人から正式に工事依頼を受けとのこと。前回見に来たときから10日経つ。そのときすぐ工事依頼してくれればここまで被害が広がらずに済んだのではと思うが、あとの祭りである。とりあえずすぐには無理とのことで、後日着工となる予定。

■2/2 管理会社への通報などを含めいろいろせっついてようやく元栓を締めてくれたようだ。壁と天井から剥がれたクロスが垂れ下がって抜け落ちた天井はそのままではあるけれど、水漏れは収まったようだ。しかし、私がすべてやらない限り先方は何もやってくれない。先方の保険業者からはまったく連絡がない。どうなっているのだろう。

■2/6 ようやくうちの天井の工事が入る。作業場は全部空にしなきゃいけないので玄関・廊下・洗面所にあったタンスや大量の本(とホコリ)を急ぎ部屋の奥に運びこむ。仕事の時間を削らなければならず負担。

工事に来た業者の三協さんといろいろ打ち合わせ。支払いについて確認。上階の責任においてやるということを言ってましたよと伝聞(本人から私への説明は無い)。加えて衝撃の事実が発覚。上階の住人、発覚時には保険に入ってなかったらしい。道理でなかなか工事に取り掛からなかったわけだ。すぐ加入したようだけど事故発生後ではさすがに保険で対応するのは無理だろう。そもそも保険に入ってますと言っていたのも虚偽説明だし、今回の件では一切、先方から私に何か報告してきたことがない。すべて「どうなってるんですか」とこちらからの働きかけによるものであったので、一時が万事大変に不誠実。

■2/14 相変わらず先方からの連絡がない。一応、私の入ってる火災保険屋にも相談してみた。上階の住人が全額負担してくれるならそれで良いのだけど、もしそれが不履行だったりする場合は保険適用になる案件(というか請求権が保険会社に移行するということなんだろう)なので連絡してくださいとのこと、いろいろめんどいけどそういう言葉だけでちょっと救いになったのでよかった。

■2/28

最初の水漏れ発覚から一ヶ月半が経過。天井はなんとか仮補修してもらったもののクロスはいまだベロベロに剥がれたまま。上階の住人からは一切経緯・今後の説明などもないままである。

自宅に仮置きしていた商品(絶版古書など)が水漏れにより汚損・破損してしまった。いまだに被害の補償の話が一切出てこない。そもそも向こうから私に「大丈夫ですか」「被害はどうですか」みたいな伺いすら一切ない。謝罪すらもまともにされていない。こちらから全部「こうこうなんですけど今すぐなんとかしてください」と何度かせっついてようやくコト(工事など)が運んだ経緯。「保険未加入(おそらく)であることも含めて上階からはいまだ私に一切の連絡・説明がない。この一点だけをもってしてもいかに不誠実であることか。

その代金の一部の補償を求めようと思った。加えてハウスクリーニング代、割れてしまった照明カバーの交換などの被害のあった金額を直接請求する手紙を出した。

■A. 崩落した天井、汚損・剥がれ落ちた壁のクロスの全面張り替え工事の全額負担

■B. 汚損・破損した家財、ハウスクリーニング代 総額15万円の支払い

Aの代金は工事業者と直接やりとりをし、加害者である上階が全額負担すること。Bの代金15万円は4/1までにゆうちょ銀行の指定口座までに振込すること、上記を承諾することに書面に3/15までに署名捺印して送付することを明記して送付した(念書)。

■3/14 水漏れの本格的な発覚から2ヶ月が経ちようやくクロス張り替えの工事が入る。402号室修繕分の見積もりの写しをもらう。

■3/15 期日までに被害の支払いについての念書は送られて来ず。

■3/某日 内容証明郵便を送付する

古書組合交換会

私は古本屋。そして全古書連(いわゆる古書組合というやつ)加盟店でございます。

組合に加盟している古本屋は、一応全国で開催している業者市、いわゆる「市場」あるいは「交換会」というやつに参加出来ることになっております。古本屋が売りに出したモノを古本屋が買うわけです。それは限定品などの一点ものから一口で数百冊単位の嵩の張るモノなどまで。本だけじゃなくCDやDVD、レコードなどののメディアや美術品、骨董品、マッチラベルやトレーディングカード、チラシやスクラップなどの紙もの、おもちゃや雑貨、ありとあらゆる古物が売買されています。

東京ではあちこちの支部が毎日のようにそういうのを開催しとるわけですね。地方組合はというとその規模にもよるのでしょうが、我々の所属してるところは月に一回開催なのです。というわけで12月某日、2024年最後の古書交換会が行われました。

ウチがここ3ヶ月ほど取り掛かっていた某氏の遺品蔵書案件も今回の出品でいよいよ最後、2万冊くらいはあったかなあ。整理されておらず仕分けにもたいそう時間をかけたのだけどこれで終りとなるとなんだが早かった気もしてくる。配送業者の大型トラックで集荷してもらって、全部運び出しすることが出来た。あとは売れてくれれば言うことなし。逆に言えば売れ残って持ち帰る自体だけは避けたいのだ。

さて開場、ざっといろいろ見て回る。目玉になるような出品はとくにないが、少し気になるものもある。ウチの客層的にもきっとアピールするであろう写真関連の数冊の口が目に付く。これは化けない(想定以上は儲からない)んだけどテッパンアイテムも入ってるし買っておきたい。あっちの文芸書の口は冊数もそこそこ、多分単価はさほど高くないけどなんとなく筋がよさげで催事に持っていきたくなる、状態もきれいだし。こっちの文芸書は均一本コーナーが大半だろうけど、数冊「ウチの棚のあの辺に、これとこれを並べたらいいだろうな」と思って惹かれてしまった。それぞれの思惑や期待をこめて入札する。

それぞれの出品物を見ながら入札するかどうかを吟味するのだけど、流れで見ているとだんだんパッと見の印象ばかりが強くなってくる。全体としてはそうでもないけど、どうしても目についた数冊が欲しくてそれのために入札してしまったり(さっきのの文芸書2もそれだ)。開場から1時間かそこらの短時間ですべてをじっくり見ている余裕はない。ざっとしか見て回れない。それがまた良くも悪くもドラマを生む(?)ことになる。ちゃんと見たらもっと高い金額で入れたはずのものを見逃して他店にさらわれてしまって後悔したり、「他の人はチェックしてなそう」と油断して入札額をそこまで頑張らなかった「弱い札」で負けてしまって後悔したり。まあ古本屋でよく言われるのは「買わずに後悔より買って後悔しろ」という。買えたらなんだかんだ納得するんですよね。なんでこれ買ったんだろう?ということもあるんだけど買えたら忘れてしまうことが多いというのもあるのかも(笑)

さてあっという間に時間に。結果は入札したものはまずまず上々。美術・カメラなどの口を落札、写真集はK堂の御子息と競って辛うじて落札(買って後悔しようと思って強気に入れて結果正解だった)、文芸書、音楽書なども落手。これも催事に持っていきたかった鉄道関係は落札出来ず。

一方で出品した物は苦戦するも、最終的になんとか全部売りさばくことに成功(もう金額じゃなくて処分出来たらいいという感じ)。これで片付け案件も終了。

あとは催事のために買った本を早めに準備しなきゃ。気がつくと1月に組み込んだ催事までもうほとんど時間がない(笑)なんのために買ったのかということにならないようにセねばイカンわけです。正月休みのんびりしてる暇ないかもな…と急に冷静になるきぜふらであった(続く)

アンチソーシャル・ネットワーク: 現実と妄想が交錯する世界

Netflixで「アンチソーシャル・ネットワーク: 現実と妄想が交錯する世界」を視聴。

日本の2chを模した匿名掲示板「4ch」は当初はアニメやオタク文化の交流地点として2003年に開設された。ミーム文化などで若者たちに支持され、年を追うごとに徐々にその勢力を広げてゆく。そのなかで一部のメンバーやそこから離れたり、ハッカー&アクティビズム集団としてのアノニマスとして活動したりしていく。一方でより先鋭化・過激化し、政治的な色合いを帯びたユーザーたちは8chなどに流れていく。それらがQアノンそして会議事堂襲撃事件へ繋がっていくという流れを追ったドキュメンタリー。

個人が名もなき集団の一員になったとき、そして行動をともにしたときの連帯感や心強さ。一方で薄れていく個人としての責任感や道徳観。これもまたファシズム的な流れの一側面だよなあと。

からかい、悪ふざけ、ミソジニー、白人至上主義…4chから8chへと至るなかでそんな言説のシャワーを浴び続けた彼らがのちにトランプを選んでしまったのは必然か。一度ならず二度までも…

広瀬愛菜「21」

広瀬愛菜さんのニューアルバム「21」やっと受取。クラウドファウンディングの特典付き、オフィシャルリリースより早くゲット。

原田知世の「天国に一番近い島」カヴァーなど、相変わらず透明感ある愛菜さんのヴォーカルを活かしたアイドルポップスものでとてもよき。特に長谷泰宏作「女王陛下かく語りき」はその路線の極めつけみたいな感じでグッとくるハイライトトラックかと思いました。

方でポイントになってるのはMCあんにゅ、ルカタマをフィーチャーした「LA BLUE」、そしてイントロでパトリース・ラッシェンかな?と思わずにいられない「LET US GO」!プロデュースも関美彦氏。前作もスルメアルバムでしたけど今回もそんな感じでしょうか。

曽我部恵一作「サマービート」で終わるのがなんか(あの曲調だからこそ逆に)終わらないでくれこの季節よ、と思って切なくなってしまうところもありつつまたリピートしてしまうのでした。敬称略。

AINA HIROSE / 21

田野大輔「ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか」

田野大輔著「ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか」(大月書店)読了。

『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』共著でおなじみの歴史社会学者、田野先生による、いわゆるファシズムを体験する大学の実践授業についての本。

ベースにあるのは1967年にアメリカの高校で実際に行われたいわゆる「サードウェイブ実験」。ドイツ人がナチス政権の政策をどのように受け入れていったのかを体験する授業であろう。どういう条件下だと集団はファシズムに没頭していくのかを実践させていくもので、教師が「指導者」となり生徒たちに忠誠を誓わせる行動をさせる、制服やロゴを使用するなどで均一化した集団を作ることなどで規律・規範への従属化は進んでいく。

加えてこちらの授業では、教師の監視のもとで「実際に暴走させてみる」。サクラとして仕込んだカップルに「リア充、爆発しろ!」と罵声を浴びせさせる。最初はためらいながらも、教師が指示することで次第にその熱は帯びていく。権力のお墨付きがあることでファシズム的な様相は次第に拡張していく。頭ではわかっていながらカタルシスを覚える生徒たち。そして彼ら自身にそれを検証・考察させることなどを経て、その危険性も回避するなどいろいろ試行錯誤されているのがうかがえる。

普通の人も、権力のお墨付きがあれば個人の責任感から逃れて「権力者の道具」と自ら進んでなっていくというのは、ミルグラム実験スタンフォード監獄実験でもあきらかである(個人的には事前に映画「THE WAVE」やそれらを題材にした映画を見てたので比較的すんなり読み進められた)。参加する人々が同質であることの帰属意識が一体感と独特の高揚感を生み出す。それらが権力と結びついたとき、人というのはいとも容易く「エスカレート」してしまうものなのだということが見えてくる。

本書でもヘイトスピーチに触れられているが、ナチスドイツがユダヤ人をスケープゴートにしたように、異なるものへの義憤や排除感情を煽ることもファシズムの典型なのであろう。異質なものに対する攻撃は均一化した集団から外れたものへの無理解であり、「彼らが自分らの権利を横取りしているのではないか」」という義憤(誤った正義感)であり。それらが直接的あるいは間接的にでも「権力がお墨付きを与える」ことによってエスカレートしていく。日本における在特会からアイヌ問題、埼玉のクルド人などヘイトの構図はみんな一緒なんだろう。政治がそれを黙認することは、まさにお墨付きを与えていることにほかならない。ファシズムは歴史の教材ではなくまさに目の前にあるものなのだという気がする。

ファシズムについて、ナチスのゲシュタポなどを持ち出すまでもなく、別に恐怖政治というだけではなくて「自発的にそこに与する人々」が下支えしたものであるというのは先の戦争での我が国でも一緒だと思うが、「ファシズムへの警鐘」が語られるとき、権力者の側だけに注目してしまい我々自身がどうあるべきかの意識が抜け落ちてるケースもあるので、そういう部分にも警鐘を鳴らした著作なのかもしれないなあと思いました。ファシズムを形成するのは他ならぬ我々自身なのだということで。

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発

アマプラで「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」を鑑賞。

アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムを描いたもの。 やはりメインになるのはアイヒマン・テストと呼ばれる服従実験。 平凡な一市民でも、一定の条件下であれば人は残酷になりうるということを示したもの。 被験者の65%がそうだったというが、果たして自分は残りの35%になれるだろうか。

なんとなく聞いたことのあったスモール・ワールド現象(6人辿っていけば世界と繋がる的な)の実験もしてたんだねミルグラム博士。

服従の心理 (河出文庫) もそのうち読みたい。

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